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2021年7月29日 (木)

財務分析

本気道場生のKと申します。

診断士の二次試験まで約三ヶ月前となりいよいよ試験間近の期間になったと感じております。

診断士の勉強では、勉強で得た知識を使ってみる事で学習効率を上げる事ができます。

その取り組みとして、今回はとある企業の財務分析をしたので、その内容をご紹介します。

 

対象はIT業界で同業社同士を比較しました。

%は記載数値未満を切り捨てしており、財務諸表の単位は百万円です。

①損益計算書

       A社   B社

売上高    528,873 32,738

売上原価   348,006 29,372

売上総利益  180,866   3.366

販管費      97,688   3,047

営業利益     83,178      318

営業外損益      1,349     17

経常利益     84,528   335

特別損益     17,968    0

税引前当期利益102,496   335

当期純利益     -      - 

②貸借対照表

       A社   B社

総資産    630,100 12,012

負債     273,780   7,540

資本     356,320   4,472

 

※公表情報に差異があったため、簡便的に記載しました。

 

●利益率

売上は10倍以上の開きがあります。

国内ITサービスの市場規模は12兆円前後で、売上高で市場占有率は両者とも10%に満たないですが

ITサービス売上高トップ5までは数兆円規模、トップ6以降は5千億円前後となり

A社は売上高トップ10位内のため一定規模以上の売上高があると言えそうです。

 

一方のB社は売上高数百億円のため、相対的に小規模と言えます。

両者とも大手企業が出資して設立された会社という共通点がありますが

A社はグループ向け以外にも国内市場及び海外市場など様々な顧客から売上があります。

一方、B社は売上高の80%以上がグループ向けのため

グループ向け以外の市場開拓力や大株主の意向が大きく左右している可能性があります。

 

特筆すべきは営業利益率がA社15%、B社が0.9%で利益率に約15倍の開きがあります。

原因分析が充分にできませんでしたが、A社はB社と異なりITコンサルティング事業部があり営業利益率が

26%でこの事業が高利益率化に寄与していると考えられます。

 

なお、中小企業白書2017年版の情報通信業・売上高対営業利益率は約5%のため、B社は中小企業の水準を下回る事になります。

 

 

●蛇足…B社の販管費について

 

蛇足ですがB社の販管費について、ホームページ等からA社より情報を取得できたため

多分に類推がありますが内訳を分析してみました。

 

まず、販管費は3,047百万円でどの会社にも発生していそうな

勘定科目かつ大部分を占めるであろう費用を積み上げます。

 

①オフィス賃料

B社のホームページに事業所の所在地があったため

ネットから借りているオフィス賃料を調べました。

坪2.3万円で約400坪とあったので坪単価×坪×12ヶ月×事業所数で

大体5億円になりました。

 

②保険料

ホームページから従業員数を確認、企業採用ページや転職口コミから大体の年収を特定しました。

その年収に厚生年金保険料率18.3%を乗じて企業が折半している厚生年金保険料を計算した結果約5億円となりました。

 

③本社等のスタッフ部門人件費

ホームページの組織図及び社員総数からざっくり50名~100名と考え

それに先程の平均年収を乗じて約6億円になりました。

 

④退職金

退職金の支給額は不明のため、社員数から大手企業の平均退職金に社員数で乗じて

勤続年数で按分した結果の退職給付引当金は約10億円になりました。。。

少し過剰計上かも知れません。

 

 

⑤結果

①~④までの概算値を積み上げると26億円になります。

これに住宅補助や旅費交通費などの福利厚生費や消耗品費、水道光熱費、ソフトウェア償却費などを

計上すると30億円になると考えられます。

 

 

なお販管費の内訳を分析する際は、費用の大きな比率を占める従業員の人件費が

売上原価、販管費のどちらに計上されているか見極める必要があります。

 

法律上の売上原価の定義は下記の通りです。

◎第七十五条

売上原価に属する項目は、第一号及び第二号の項目を示す名称を付した科目並びにこれらの科目に対する控除科目としての第三号の項目を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。

一 商品又は製品(半製品、副産物、作業くず等を含む。以下同じ。)の期首棚卸高

二 当期商品仕入高又は当期製品製造原価

三 商品又は製品の期末棚卸高

「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」から引用

 

ITサービス業の製品製造原価は、システム開発人件費や外注費を計上する事が多いです。

試しにB社の従業員数×平均年収で計算すると到底30億円に収まらないため

これら理由からシステム開発人件費等は売上原価に計上していると判断できます。

 

 

 

●資本効率

取得できる資産内訳情報にずれがあったため、包括的な分析になってしまいますが

総資本営業利益率で対比するとA社が13%、B社が2%となります。

やはり利益率に開きがあるため、資本効率にも開きがある結果になりました。

なお、白書の情報通信業・総資本営業利益率は約5%のため

A社は中小企業の水準を上回り、B社は下回る事になります。

 

 

 

●安全性・安定性

観点は短期安全性、長期安全性及び安定性など様々ありますが

全部列挙すると文が長々しくなるため、今回は自己資本比率のみを対比します。

A社は56%、B社が37%であり安定性もA社が優れている結果となりました。

 

なお、営業外損益がプラスため両社とも支払利息が発生する有利子負債が少なく

有形固定資産や投資有価証券の有効活用により営業外費用より営業外収益の方が大きい事になります。

 

利益率で触れたとおり、A社、B社の営業利益率・額に大きな開きがあり

自ずと内部留保に計上する当期純利益額に大きな差が生まれます。

 

また、株主等への配当性向はA社が32%

B社は配当性向が公表されておりませんでしたが

前年、前々年の貸借対照表の利益剰余金及び損益計算書の当期純利益から読み取ると

直近の貸借対照表、利益剰余金は減少しています。

かつ赤字転落はしていないため、配当性向が100%を超えており

当期純利益を超える配当及び役員賞与の社外流出をしています。

(役員賞与は当期純利益より上、費用として計上している場合もありますので言及できませんが、節税効果のため当期純利益から役員賞与を支払う可能性が低い考えられます)

 

これを投資家目線では、B社は当期純利益の株主還元に積極的と思う一方

企業が将来性を考慮した投資が不足していると不安に感じるかも知れません。

 

また、従業員目線で見ると営業利益が3億円程度で

仮に当期純利益を従業員に月給・賞与で還元する余地を考えます。

単純に社員数で当期純利益を割ると年間約17万円の利益還元になります。

そのため、年収増加は企業内における他の従業員との相対評価で他の従業員の評価が下がり

その分自分の評価か上がる事を起因とした昇給となるゼロサムゲームでほぼ決まる事になります。

 

以上から、内部留保の蓄積スピード、内部成長率にも差が生まれた結果、安定性にも差が出でました。

 

 

まだまだ勉強不足のため、ここまで分析に留まりましたが

一流のコンサルタントは更に多数の観点を数値から読み取れるのかなと思いました。

 

なお、白書の情報通信業・自己資本比率は約55%のため

自己資本比率について、相対的に企業規模による格差は

他の指標より小さい結果となりました。

 

 

●さいごに

以上、各指標を確認してきました。

やはり改めて感じたのは、まず高利益率で稼ぐ。

稼いだ資金をさらなる高利益化につながる設備投資、人的資本投資に回す。

適正な範囲で内部に利益を留保して企業の安定性を確保する事が重要な事が改めてわかりました。

 

また、ブログを書く際は情報収集をしながら情報を整理して文書化できました。

しかし、実務のコンサルティングでは、クライアントに財務諸表を見せられた瞬間に

貸借対照表、損益計算書から同業他社平均水準を下回り

額・率的に改善効果が大きい箇所を秒単位で指摘し成果を出さないと

顧問契約に至らない事もあるので、まだまだ道は長いと思いました…

とはいえ、今後も様々な企業から必要とされるコンサルタントを目指して勉強していきたいと思います!

 

最近の夏は猛暑日が数年前に比べ増加してきたので

食べるものにこだわり、寝る時は部屋の温度を下げ過ぎて風を引かぬよう注意し

エアコン室内温度に留意して、万全の体調で一次、二次試験の勉強に望みたいと思います。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

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